脳研究者は何を考えているか
糖鎖ラボの公開作業などに追われてしまい久しぶりの更新です。
脳科学の真実--脳研究者は何を考えているか (河出ブックス)
- 作者: 坂井克之
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2009/10/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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第一線の研究者が脳科学ブームを批判的に検証
1.「お茶の間の脳科学」と「現場の脳科学」のギャップ
認知神経科学は脳科学の一分野(巷間の脳科学)で心の脳内メカニズムを明らかにする学問です。現在の脳科学ブームは脳研修者ではなく脳科学者のマスメディアでの活躍やMRI、NIRSなどの脳血流量測定による脳画像技術による判りやすさにあるようです。同時に認知症、ひきこもり、自殺など現代社会が抱える心の問題を解決する手段になるとの期待もあります。
「脳トレ」や「ゲーム脳」は、人間の知性を司る前頭葉に注目していますが、それらの脳活動の実験データはその時の一時的な脳の状態を反映してもネットワークとしての脳の性質を全く考慮に入れていません。ひとつの脳領域とその働きは1対1の対応ではなく、更に前頭葉は20数ヶ所の領域に分かれて課題により異なる部分が活動します。
2.研究者の情報発信の仕方
本来、研究者は正確さ、厳密さ、論理性を基準とし、一般人は金銭、健康、人間関係など日常生活への貢献度を基準とし、マスメディアは購読者数、視聴率など情報の影響力を基準とする動作原理が働いています。
しかし、研究者は社会への貢献度を求められ、その情報発信の手段としてマスメディアに依存するようになり動作原理の違いが明確でなくなりつつあります。研究者は研究業績の成果、研究費の獲得競争などで優位になるために自分の成果をウケを狙って平易な表現に変えただけで社会に発信したのでは正しい受け止め方は期待できません。
従って現時点の脳研究における現在進行中の研究状況と深みを一般の人に伝えてゆくことが最大の情報発信になるのではないでしょうか。
本書は研究現場の現状もフェアにみつめながら今求められる科学と社会の関係を問う本。脳科学ブームに肯定的な方も、否定的な方も一読の価値がある一冊です。
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